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美大受験を調べる①

目次

理系の受験しか知らない母が調べ始めた理由

 娘は地方高校の理系特進クラスに在籍しています。数学や物理がほかの科目より好きだったので、特に悩むこともなく理系クラスに進みました。
 息子の大学入学時の保護者説明会に出席した際、「工学部出身の女子学生は就職で引く手あまた」という話を聞いたので、私としては完全に工学部進学希望でした。「これで地元の国立の工学部に進学したら、、、」というお金の妄想をして安心しきっていました。結局娘は「美大に行きたい」と決意表明したので、無駄な妄想になり少し落ち込みましたが、「これは、無理して工学部に行っても本人のやる気は出ないだろう。大学途中でやっぱり美大だったとい言うかもしれない。それは困る。」と思い直して、調べ始めることに。

 本当に驚くほどに何も知りませんでした。正直なところ、美大は
藝大くらいしか知らない状態だったため、一旦大学から調べていきました。


驚いたこと①

国公立でも全科目が必要ではない

調べて最初に驚いたのは、
国公立でも美大であれば共通テストが全科目不要な大学が存在すること。むしろ全科目必須は少ないです。

  • 共通テストは3教科~5教科で受験可能(大学独自の学科試験も科目は少ない)
  • 数学Ⅲは不要で、国語と英語はほぼ必須
  • 工学部とは受験の前提がまったく違う

「国公立=5教科7科目+情報Ⅰ」という思い込みは、美大受験では当てはまりませんでした。国公立受験の何がキツいって共通テストの科目数の多さだったので、これは良かったと思いました、その時は。


驚いたこと②

実技の比重が重い

多くの美大では、

  • 共通テスト(学科):最低限
  • 実技試験:合否を左右

という構造になっています。

学科が得意でも、
実技が弱ければ合格は難しい世界です。(一部、受験方法によっては学科のみで入学できる大学もある)

共通テストや学科の比重が軽いのは、実技が重いからです。そうですよね、美大ですから。しかも実技の内容が1種類ではない。石膏デッサン、静物デッサン、色彩構成、粘土、、、?

驚いたこと③

芸術工学部と美術学部は「似て非なるもの」

名前が似ているため混同しがちです。

芸術工学部:工学的な理論と技術/実技なしor軽め(理系)

代表的な国公立大学
  • 九州大学 芸術工学部
  • 名古屋市立大学 芸術工学部
  • 千葉大学 工学部 デザインコース
  • 京都工芸繊維大学 デザイン・建築学課程
  • 東京都立大学 システムデザイン学部  など
代表的な私立大学
  • 芝浦工業大学 デザイン工学部
  • 法政大学 デザイン工学部
  • 東京都市大学 デザインデータ科学部
  • 神戸芸術工科大学 芸術工学部   など

美術学部:制作・表現中心/実技重視(文系)

代表的な国公立大学
  • 東京藝術大学(東京都)
  • 愛知県立芸術大学(愛知県)
  • 金沢美術工芸大学(石川県)
  • 京都市立芸術大学(京都府)
  • 長岡造形大学(新潟県)
  • 沖縄県立芸術大学沖縄県)
  • 筑波大学芸術専門学群(茨城県)  など
代表的な私立大学
  • 武蔵野美術大学
  • 多摩美術大学
  • 日本大学 藝術学部(日芸)
  • 女子美術大学
  • 東京造形大学
  • 京都芸術大学   など

娘は「美術学部」を志望しました。国公立の芸術工学部は、難関だったことも理由としてあります。大学では似たようなことを学ぶのに(だいぶ違うのかもしれませんが私の感覚的に)、受験では芸術工学部は理系を極めないといけない。一方で美術学部は文系(+画塾)。両方受験する可能性を残しておくことはたいへん困難です。いまままで理系科目を頑張ってきたのにもったいないと、惜しくてならない時期もありました。いや、今でも少し惜しいと思っています。(やっぱり、工学部女子の就職が惜しい)


驚いたこと④

倍率が高い

倍率を見たときは一瞬ひるみました。

国公立の美大は、定員がとても少なく、
学科や専攻によっては 10倍前後、年によっては20倍近い倍率 になることもあります。

息子の工学部では、前期2~3倍あたりで高いと思っていたため、一般的な大学受験の感覚でいうと、
「そんなに高倍率なの?」と感じる数字です。

しかも、美大受験の倍率は、単純なペーパーテストの競争ではありません。
数時間〜十数時間かけて描いた作品、たった数枚で評価され、合否が決まります。


倍率が高くなる理由

調べていくうちに、倍率が高くなるのには、いくつか理由があることも分かりました。

  • 国公立美大は、そもそも募集人数が少ない
  • 本気で表現を学びたい人が全国から集まる
  • 私立ではなく国公立を目指す受験生が集中する
  • 浪人生も多く、実技経験の蓄積が大きい

「倍率が高い=無謀」というより、
全国から本気の受験生が集まるからこその数字なのだと思います。


親として感じたこと

理系の受験しか知らなかった身としては、

  • 偏差値で安全圏を読む
  • 模試判定である程度見通しを立てる

という感覚が、通用しない世界だと感じました。

美大受験は、

点数の積み上げではなく、作品の完成度と表現力で評価される

そして、「倍率」という数字以上に、
この評価のされ方そのものが、分かりません。

一体どうやって評価されるんでしょう。教授の好みなど、運が含まれているのではないかと思ってしまいます。点数や偏差値で判断できない受験、、、判断が難しいです。


これだけ倍率が高く、実技一発勝負の世界だからこそ、
日常的にどれだけ描き続けられる環境があるかが、
大きな差になるのだと感じました。

数時間、集中する体力と精神力。まさにアスリートですね。

驚いたこと⑤

画塾必須

そのため、画塾(美大受験予備校)に通うのは当たり前で、開始は早い方がいいということ。娘の友人の姉で、私立5美大(武蔵美・多摩美・東京造形・女子美・日芸)に現役合格した子からは「一刻も早く画塾に行った方がいい」というアドバイスでした。

画塾の講師からは、「進学校あるある」として、成績が下がって焦って勉強に振りすぎて実技をおろそかにした結果受験に失敗するということがある、という話を聞きました。受験期に成績が下がったとして、焦らずにいれるだろうかと自分のことが心配になりました。

驚いたこと⑥

美大受験は想像以上にお金がかかる

やはり、ここが一番現実的に驚きました。
美大受験は、学費だけでなく「受験までにかかるコスト」そのものが高い世界です。

画塾代

娘は高校3年生から週5で画塾に通う予定ですが、地方の場合でも

  • 月謝:4〜8万円前後
  • 年間:50〜100万円近く

になることが多いそうです。
さらに夏期講習・冬期講習・直前講習で、追加で10〜30万円かかるケースも珍しくありません。


上京講習・遠征費

藝大や難関美大を目指す場合、東京の画塾に短期で通う受験生もいると聞きました。東大は地方の予備校から合格するのに、東京藝大は地方の画塾からは合格しないなんて、知りませんでした。

  • 飛行機代・新幹線代:往復 2〜5万円
  • 宿泊費(1〜2週間):5〜10万円
  • 講習費:10〜20万円

1回の上京で、合計20〜30万円かかることもあります。

「1回だけ」では終わらない可能性もあるので、積み重なるとかなりの金額になります。首都圏の画塾には地方から遠征する子のために寮があったりします。小中学生のころ、「息子のサッカーの遠征費が高い~」とママ友から聞いて「そんなにするんですか~!すごいですね~うちは無理~」とか言っていましたが、我が家にもしっかりきました「遠征費」。


受験料・画材費

意外と見落としがちなのが、細かい実費です。

  • 受験料:1校あたり 17,000〜35,000円
  • 複数校受験すると 10万円前後
  • 画材・紙・道具:年間 数万円〜10万円

私立美大に進学した場合の学費

もし私立美大に進学すると、

  • 初年度納入金:180〜250万円前後
  • 4年間合計(画材や研修費など):700〜1,000万円規模
  • 一人暮らし費用合計:500万円前後

国公立とは大きな差があります。「私立美大」「私立医大」受験生の親にとっての、恐怖のパワーワード。


正直な親の本音

ざっくりとお金がかかるんだろうということは予想していましたが、美大受験の現実は、時間・体力・お金をどれだけ投資できるかが大きく影響します。

だからこそ、

  • どこまで挑戦するか
  • どこまで家計として許容できるか
  • どこに優先的にお金を使うか

は、親子でしっかり話し合う必要があると感じました。私立になるとさすがに奨学金が必要かもしれないな。

驚いたこと④ 

「美大=就職がない」と思い込んでいた

私は最初、
「美大に進んだら、就職はかなり厳しい世界なのではないか」
「“食べていけない美大出身者”になってしまうのではないか」
そんな漠然とした不安を持っていました。

世の中でもよく聞く、
「美大に行っても就職がない」
「好きなことだけして将来が不安」
というイメージに、無意識に引っ張られていたのだと思います。

だからこそ、親が美大進学に慎重になる気持ちも、正直よく分かります。

ところが実際に画塾の講師の方や卒業生の話を聞いて、印象は大きく変わりました。

娘の希望しているアニメ・ゲーム・デザイン業界では、
しっかりと専門教育を受けられる大学を選ぶこと
そして本人がどんなポートフォリオを積み上げていくかが、就職に直結しているところでした。

さらに、大学によっては企業とのつながりが強く、
インターンや企業課題、制作発表の場を通じて、在学中からプロの現場と接点を持てる環境が整っているところもあります。

驚いたのは、業界関連のアルバイトを大学や先生経由で紹介してもらえるケースがあるということでした。
現場に近い仕事を学生のうちから経験できることは、スキルだけでなく、将来の進路を考えるうえでも大きな財産になりそうです。

「美大=就職がない」という単純な話ではなく、
どこで学び、どう経験を積み、どう作品を積み上げるかによって、進路の見え方は大きく変わる。
そんな現実を、初めて知りました。

まとめ

調べながら感じたのは、
美大受験は「才能があるかどうか」だけで決まる世界ではない、ということです。

どれだけ継続して描ける環境をつくれるか。
どれだけ自分の弱さと向き合いながら、コツコツ積み上げられるか。
その積み重ねを、最後に実技という形で表現できるか。

親にできることは、
結果をコントロールすることでも、才能を評価することでもなく、
挑戦を続けられる環境を、できる範囲で整えることなのだと思いました。

そして親も覚悟を決めること。

不安はつきませんが、知らずに悩むより、知った上で向き合える今の方が、ずっと前向きです。

この先も、調べて分かったこと、迷ったこと、感じたことを、
少しずつ記録していこうと思います。

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